ハリウッドを蹴散らす邦画~シン・ゴジラ~

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ハリウッドに真正面から立ち向かっても邦画の制作予算では到底敵わない。しかし、アニメはアクション、SF、ファンタジーといったハリウッドの独壇場に日本が切り込める唯一の手段だ。

これは、”これまでの”私の持論だ。

敢えて、これまでと言った。今日、その考えは覆された。

シン・ゴジラという映画によって。

どんだけ情報量詰め込んでんだよ、この映画

まず、この映画とにかく情報量がすごい。

無数に出てくる官僚、自衛隊員、研究者、乗り物、建物、兵器。その全てが明朝体のテロップで紹介される。エヴァンゲリオンでもお馴染みの手法と言っていいだろう。

さらに、状況説明にもテロップが多用される。ここがミソかもしれない。映像は文字より多くのことを伝えられるというが、シンプルな事象を伝えるにはやはり文字のほうが優れている。このテロップの魔法によって、シン・ゴジラはめちゃくちゃな情報量をたった2時間に収めている。普通、2時間では説明不足で消化不良を起こしてしまうボリュームをうまく調理している。

石原さとみや長谷川博己が「台本が厚い」と言っていたのも頷ける。

醍醐味は、日本という国の動き方

シン・ゴジラのシーンの5割は政府の中の人たちの奮闘に割かれている。組織のしがらみや多方面からの圧力、難しい外交、法案ができるまで、プロジェクトの遂行と障害、問題の切り分け。こういったものを現実味を帯びながら描いている。しかし、その中でもしっかりとエンタメをしている。それこそ、半沢直樹やハゲタカを見ている感覚に近い。

そのほかにも、自衛隊の車両・兵器が日本のどこに配置されており、こういう場合はこの基地からF21が発進するとか、何気に勉強になる。緊急時に日本がどういう風に動くのか、というドキュメンタリーを見ている気すらした。(実際、取材協力の数が半端なかった。枝野さんとかも入ってた気がする)

ちなみに、ゴジラの戦闘シーンは言わずもがな、醍醐味だ。(ここではあえて触れない)

現代日本への皮肉と希望

ゴジラは元々テーマ設定が深く、人類が生み出した核兵器の恐怖の象徴、そしてその身勝手さを表している。

シン・ゴジラはその原点回帰、いや、原点回帰しつつも全く新しい作品へと進化している。

この映画、「現代日本にゴジラが現れたら」という設定の細かさがすごい。冒頭、SNSやニコ動といったもので謎の海上噴火のニュースが広まるシーンや、「避難してください」と言われてもまずカメラを向けてしまう人々、逃げながらも何か非日常を感じて楽しんでいる人、総理官邸の近くでラップでデモをやり始める若者。どれもこれも「あぁ、ありそうだ」と思った。

そして、日本という国の現状に対する切り込みもすごい。

責任の押し付け。形式だけの会議。時間がかかる決定。一方、トップダウンで物事が進む米国。その属国、日本。ゴジラという脅威に対して武力を行使できるかの憲法解釈(村上龍の半島を出よを思い出す)。それらが皮肉混じりに描かれている。

その一方で、日本の良さもたくさん描かれている。

民間人がいる可能性が少しでもあれば、断固として武器の使用を認めない総理大臣。国民のために不眠不休で働く官僚。彼らを支えるお茶出しのおばちゃん。個の力ではなく、チーム力で結果を出すこと。日本のやさしさと何があっても必ず蘇る力強さがにじみ出ていた。

決してナショナリズムに溢れた映画と言っているわけではない。日本という特殊な歴史を歩んできた極東の島国だからこそ、という要素で成り立っている話だ、とうことだ。

ハリウッド映画なら、リーダーシップ溢れる大統領がボロボロのホワイトハウスの前で星条旗をはためかせながら感動の演説をし、それをパイロットが聞いて士気を高め怪獣に立ち向かうだろう。日本には、(残念ながら)リーダーシップがある人間が少ない。しかし、チーム力でそれを補うことができる(できないケースももちろんあるだろう)。

ネタバレになるので言わないが、最後は本当に日本らしいやり方で、物語のクライマックスを迎える感じもよかった。シン・ゴジラの中の日本は今後良い方向へ行くように思える。

なるほど、庵野監督。わかりましたよ。

この映画、CGやエフェクトに関してハリウッドを超えるかといえば、全然そんなレベルではない。時々、笑いそうになるCGも見られる。

しかし、それがどうでもよくなるくらいの脚本と演出の成せる技だ。とてつもない時間をかけて検証を重ねてきたんだと思う。そこら辺の映画とは作りこみの格が違う。演出の面でも、アニメを数多く手がけてきた庵野監督のエッセンスなのか、今まで実写では見たことのない表現が多く、既視感がなかったように思われる。

話は戻るが、あのストーリーをあの時間に押し込みながら、エンタメ要素も忘れず、お客さんを置いてきぼりにしない演出は本当に素晴らしいの一言だ。官僚たちのお仕事もの人間ドラマ、国を守る熱い気持ち、自衛隊の兵器などメカニック的な面白さ、日本という国の緊急時の動きやプロセスを垣間見れる楽しさ、迫力ある映像、ゴジラという馴染みある設定、よく知っている土地がたくさん出てくること、現代日本あるある、そして庵野エッセンス。これらが絶妙の塩梅で調理されている。

なるほどハイコンテクストな作品な気もしてきたが、とにかくこの作品はそこらへんのハリウッドは蹴散らせると確信している。本当に良い映画を見たと思った。

そして、思った。

そりゃ、エヴァが完成しないわけだ。

でも、庵野さん。エヴァも楽しみにしていますからね!

※ちなみに、一番テンションが上がったのは、まさかの「パターン青、使徒です!」的なBGMがかかったときでした笑

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