青春アニメは長井龍雪と細谷守が牽引する~心が叫びたがってるんだ~

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秩父を舞台に繰り広げられる一夏の青春物語で、「泣ける」とちょっとした社会現象(?)を巻き起こした「あの花」。

その製作メンバーが再集結し、9月より公開されている「心が叫びたがってるんだ」が初週5日間で動員約23.5万人、3億円を突破。スクリーンアベレージNO.1の大ヒットスタートになっているらしい。

ここさけ

結論から言おう。

青春アニメの傑作がまたひとつ生まれたと言えるだろう。

今回は、「ここさけ」についてさらっと書いていきたいと思う。

現実を忘れさせる絵、楽曲、演出

ここさけのお話自体はとても単純だ。

「言いたくても言えないこと」「言葉は人を傷つける」といったテーマに、高校生たちがそれぞれ何かを抱えながら前に進んでいく青春劇だ。

その点、「あの花」よりもメッセージ性があった。(あの花は感動的ではあるが、感動の物語を第三者的に見せられていた感がやっぱりある。「ここさけ」は見た後に映画のテーマを自分ごと化しやすかった)

ただ、この単純なストーリーを素晴らしい作画や楽曲。そして、演出が彩っている。

登場人物がアンニュイなとき、慌てているとき、希望に満ち溢れているとき。そのシーンにあった曲が流れるのは当たり前だと言えば当たり前だが、決して映画音楽をやっている人間ではないクラムボンが曲をつけていることが大きいのかもしれない。クラムボンが本来持つ、ちょっと根暗で甘酸っぱい感じがそのまま良い感じにここさけという作品に滲んでいる感じだ。

挿入歌で流れるコトリンゴが歌っている曲は、「ゆっくりと木の香りがする家でコーヒーを飲んでいる」ようなテイストで「ミュージカルの準備に追われる高校生たちのワクワクとキラキラ」にガッチリハマっているというウルトラC化学反応を起こしていた。

#ここさけ 挿入歌

演出もとても良かった。作中、いろいろな登場人物がいろんなことを思っていても、見ている側を迷子にさせることなく丁寧にキャラクターが何を考えているかを分からせてくれる。

それは表情だったり、声優の演技だったり、カメラアングルだったり、メタファーだったり。ひとつひとつがとても丁寧だ。

キャラクターが一生懸命すぎて(この一生懸命さがたまらんのだ)「こいつ何言ってるのかわかんねぇ」とういうシーンでも、キャラクターが何を言いたいのか何となく分かるのも、そういった丁寧な作りこみのおかげだろう。

画期的な演出などはない長井龍雪監督だが、彼の持つセンスと丁寧な演出力を遺憾なく発揮していたように思える。

それらのおかげか、私は作品が始まってから一寸も途切れることなく、ずっとスクリーンの中に釘付けだった。現実のことを一切忘れて作品を楽しむことができた。

ついに、トップに登りつめ始めた長井龍雪

所謂「あの花」スタッフと言うのは、長井龍雪(監督)・岡田麿里(脚本)・田中将賀(キャラクターデザイン)を主に指している。

彼らは「あの花」の前にも「とらドラ」で仕事をしている。(むしろ、彼らの原点はとらドラだ)ちなみに、「とらドラ」は青春アニメとしてBDをボックスで揃えるべきマスターピースだ。

彼らは「ここさけ」で、またしても素晴らしい作品を世に放ったことになったのだが、やはり、長井龍雪のオリジナル映画アニメのデビューという意義はとても大きい。

長井龍雪は、実は脱サラしてアニメーションスタジオに入り制作進行→演出→監督というキャリアを歩んできた。「ハチクロ」「とらドラ」「とある科学の超電磁砲」「あの花」などのヒット作を連発し、今回がオリジナルで挑む初の劇場アニメ。言い換えれば、「深夜アニメ」を超えて「お茶の間」へ飛び込んだ訳である。

そして、劇場にいた老若男女の反応を見る限り、評価は上々だろう。

つい最近「バケモノの子」をヒットさせたポストジブリの筆頭格、細田守。「秒速5センチメートル」や「言葉の庭」で市民権を得た新海誠。しかし、その後に続く「お茶の間」にオリジナルで挑めるアニメ監督はいなかった。

だが、「ここさけ」のヒットによって長井龍雪は細田守や新海誠に大きく近づいたといえるだろう。

確かに、本当の意味で「オリジナル」を生み出す力は細田守の方が上かもしれない。しかし、長井龍雪の丁寧さや演出のセンスは脚本を誰かに任せたとしても、十分なほどに魅力的だ。

青春ものの印象が強い長井龍雪。もし、ファンタジーやSFモノをつくるとき、真に次世代のアニメの担い手となるかどうか問われることになるだろう。

ただ・・・一言言わせて欲しい。

ここさけでひとつだけ残念なことがある。

 

乃木坂46だ。

 

ED曲以外は、本当に素晴らしい作品です。

みなさんも、ぜひ映画館へ足を運んでみてください。

 

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