京アニ本当に半端ない~聲の形の映像と音楽~

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「君の名は。」が空前のヒットを続ける中、同じくアニメ映画で異例のヒットとなっている作品がある。

聲の形だ。

原作は漫画。制作は京都アニメーション。監督は「けいおん」や「たまこラブストーリー」を手掛けた山田尚子監督。

▶<過去記事>青春アニメ映画の珠玉~たまこラブストーリー~

よくある深夜アニメ的な映画化に見えなくもないが、声優に松岡茉優、主題歌にaikoと、ターゲットを一般層にも広げているのが見てとれる。同じく、一般層をターゲットにした「君の名は。」が成功した波に乗じて聲の形も20億円の興行収入を達成してしまった。

この作品は「いじめ」や「聴覚障害」、「友達」といった重めのテーマが注目されているが、個人的にはテーマ云々でなく京都アニメーションが誇る作画と演出と牛尾憲輔の音楽を愛でる芸術作品と言える。

とにかく美しい。そして、細かい。

この映画は無音でも見れてしまう。何故ならば、美しいからだ。君の名は。の美術もたしかに美しいが、聲の形も引けを取らない。

京都アニメーションは写実的な表現にどんどんと寄っている。情報をデフォルメ化することがアニメだとしたら、その流れに逆らう行為だ。

実際作品の中では、まるでそこにカメラがあるかのような印象を受ける。最近は他のアニメにも増えてきたが、被写体深度を感じさせるピンぼけや細かいブレなどの芸当では抜きん出ている。

「君の名は。」の映像は美しい。しかし、聲の形の映像は美しさの裏にある狙いや科学的なつくりに感心させられる。本当に芸が細かい。

キャラクターに演技をさせることの極み

先程、細かいと言ったが、この作品の細かさは一切の妥協を感じさせない。

私は思う。この映画は京都アニメーションでなければいけなかっただろう。

なぜならば、この映画の最も重要な描写が「手話」であることだ。

焦っているときはせかせかと。ちゃんと伝えたいときはゆっくりと。愛おしいときは丸みを帯びる指。こういった手の演技がこの作品にとってはヒロインの感情表現になる。

この手話の演技が本当に見事なのだ。

実写であれば俳優に演技指導をすればいいところだが、アニメはそういかない。全ての動きを0から描かなければならない。そして、それがアニメにおいては登場人物に演技をさせるということなのだ。

「またね」を表す二本指を立てる手話にすら、制作陣の本気を感じた。

脳内に溶け込んでくるBGM

もうひとつ、この映画で語らなければならないのは音楽だろう。

音楽の担当は、agraphやLAMAとしても知られる牛尾憲輔だ。

私は音楽担当が牛尾憲輔と知った瞬間叫んだ。(監督が山田尚子と聞いても叫んだし、映画化の時点で叫んだ)

だって、ピンポンの素晴らしいBGMを生み出した才能の塊だから。

しかし、聲の形で流れる音楽はそんなに印象的ではない。サントラを買ってあとで聞いたが、ほとんどが「いつ流れたっけ?」状態だった。

そう、映画に溶け込み過ぎなのだ。

改めて聞くと分かるが、劇中の楽曲の多くはノイズ混じりのピアノの曲だ。ただ、ノイズといっても心地の良いノイズであり、まるで環境音のよう。山田尚子監督が映画について上げたキーワードが「滲み」「レンズボケ」だったらしいが、まさにそんな印象を受ける。

映像と音楽のマッチ具合がもう、すごい。

詳しくは、牛尾憲輔のインタビューに書かれているので是非。

 

最後に一つ注意をしておこう。

この作品、見るのにそれなりのパワーを要する。それに、「君の名は。」の方がエンタメ的には間違いなく面白い。

しかし、それでもこの作品の映像と音楽はぜひ映画館で体感してもらいたい。

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