「大きな嘘を一つだけ」の妙技~正解するカド~

ShareShare on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Share on TumblrPin on Pinterest

2016年、シン・ゴジラという映画が巷を賑わせた。

その内容はかなりのオタク向けだったにも関わらず、大ヒットを記録。
かくいう自分も、公開してすぐに映画館へ行き、ゴジラが東京を業火に包む様子に唖然とし、その映像に恐怖すら感じたものだ。

あの作品がヒットした理由の一つに、「映画で起こっている出来事をリアルに感じることができたから」という要素があるだろう。

実は、SFには不文律がある。
それは、「大きな嘘を一つだけつき、残りは現実に即す」というものだ。

なるほど、シン・ゴジラでは、「もしも日本にゴジラが現れたら」という大きな嘘をついて、それ以外は現実を踏襲したということらしい。

大きな嘘をつきながら現実を踏襲するということは、並大抵の努力じゃ実現できない。

圧倒的な想像力と緻密なロジックが必要不可欠なはずだ。
その裏には、膨大な取材と知恵の絞り合いがあったのだろう。

来る2017年。

シン・ゴジラに続き、大きな嘘を見事についている作品がある。

それが、「正解するカド」だ。

意味不明のオンパレード。だが、面白い。

羽田空港の滑走路に突如として謎の1辺が2kmを超す超巨大な正立方体が出現し、出現場所に居合わせた旅客機256便(ボーイング777型)が、乗員乗客もろとも立方体に飲み込まれた。政府が関係各省と連携を取り合い、この立方体の調査と飲み込まれた乗員乗客の救命に奔走する中、立方体上部にヤハクィザシュニナと名乗る人物と、偶然256便に乗り合わせていた凄腕の交渉官・真道 幸路朗が現れる。

うん、よく分からない。

すこしまとめると、

1.真道という外務省のネゴシエーターが、飛行機に乗っていたら謎の立方体(カド)に取り込まれる。

2.カドの中で、謎の存在のヤハクィザシュニナと遭遇。

3.ヤハクィザシュニナは、人間と話がしたいと言う

4.日本政府とヤハクィザシュニナの間に、真道が立つ

こんなところ。

ちなみに、カドはこんなの。
圧倒的モノリス感。謎。

そして、ヤハクィザシュニナ自体も謎。

・多次元空間(ノヴォ)からこの世界にやってきた。
・電力を無尽蔵に生成できる「ワム」という物質を人間にくれてやがると言い出す
・日本に降り立った理由は、「余ったパンを人に分ける」というような価値観を日本人が最も共有しているから
・日本政府との対話の場は、全世界にオープンにすると言い出す(プレスOK)
・人間には進歩が似合うとか言い出す

ワムという無限のエネルギーを人間に授けたい。でも、それは争いの元だから、まずはワムを利己的でなく他の人のために使える人が多い日本に持ってきた?
しかし、人類がエネルギーに困らなくなることで、ヤハクィザシュニナにとってなんのメリットがあるのかが、今のところ皆目検討がつかない。
ヤハクィザシュニナは、まどマギにおけるキュウベエになるのだろうか。。。うーん。。。

などと考えたりはできるが、確証はなく、まさに謎が謎を呼んでいる状態だ。

そんなカオスな状況ではあるが、そこで行われる日本政府の対応には一切違和感がない。

大きな嘘の中のリアル。

例えば、カドがどういうものなのかを確かめるための物理学者。
カドに対して興味津々にヘリを飛ばすプレス関係者。
ヤハクィザシュニナとの対話の場をセッティングする閣僚関係者。
要人を狙えるような狙撃ポイントをしらみつぶしにする自衛隊。

ヤハクィザシュニナ(カド)という大いなる嘘をつきながら、現実の踏襲が見事だ。
だから、些細な事もいちいち腹に落ちる。そして、面白い。

作品のサイト自体には、「世界の終わりに、人間は正解することができるのか?」というようなことが書いてある。

世界の終わりを引き起こすのは、カドなのか、それとも人間自身なのか?

その結末が、大きな楽しみである。

※正解するカドは、Amazonプライムでやってるのでぜひ。
ちなみに、この作品自体は東映アニメーションの肝いりプロジェクト。

セルルックCG(手書きに寄せたCG)としても、とても出来が良い。

手書きかどうかはあっという間に気にならなくなるです。


 

ShareShare on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Share on TumblrPin on Pinterest

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です